インプラントとは
顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、上部構造(人工歯)を装着する治療法です。
インプラントは、乳歯、永久歯に次ぐ第3の歯と言われています。
噛む能力は自分の歯と同程度で、違和感もなく、発音にも苦労することがありません。
ブリッジと違って前後の歯を削ることもないので、残っている歯に対してもやさしい治療法といえます。
インプラントの精度を上げるサージカルガイドとは
当院のインプラント治療でもっとも重視しているのは安全性です。
インプラントを入れる位置により、人工歯の被せ方やその後の持ち具合にまで影響してきます。
顎の骨が薄かったり、埋入位置に神経が近かったりすると、手術中に危険が伴う場合があります。
こうした難症例にはサージカルガイド(エールガイド)を用いて、インプラントの計画、埋入を行います。
サージカルガイドとは、シミュレーションした通りの位置にインプラントを埋入するための定規のようなもので、インプラント手術用のマウスピース型装置です。
ドリルを固定する穴があいているため、歯肉を大きく切り開く必要がなく、インプラントを埋入することができます。
手術
最近では診断精度の向上により「フラップレス手術」が多くなってきました。
フラップレス手術とは、従来は歯茎を切って骨を露出させてインプラントを埋入する手術が主でしたが、診断技術の向上とエールガイドの使用により歯茎を切開しないで安全に行う方法です。
従来は歯茎を切開して骨を露出させてからインプラント埋入していたものを、CTと精密なサージカルガイド=エールガイドを使うことで切開をすることなく安全に短時間で行えるようになりました。
1本のインプラント埋入でしたらほんの10分位で手術終了することが可能です。
フラップレス手術は術後の腫れや痛みもほとんどないため患者様にとても喜ばれております。
(骨や歯茎の状態によりできない場合もあります)
基本はエールガイドを使用し、計画通りの位置と深さと方向にインプラントの埋入を行います。
これにより神経や血管を傷つけるような事故を完全に防ぐことが出来るため、安心安全なインプラント手術を行うことが出来ます。
インプラントを埋入する際には、2種類の治療方法があります
1回法
1回法は、顎の骨にドリルで穴を開けて人工歯を取り付けるヘッド部分を露出させるようにインプラントを埋め込み、インプラントが顎の骨になじんだら、アバットメント(支台)を取り付けます。
あごの骨が足りない場合は、同時に骨を再生するGBR療法を併用することがあります。
2回法
2回法では、ヘッド部分を歯肉で覆い様子をみて、もう一度歯ぐきを切開してアバットメントを取り付けます。1回法のほうが時間や負担がかからないためメリットは多いですが、付着歯肉が十分にあることなど条件が必要です。
最近では抜歯即時埋入、即時荷重法といって歯を抜いてその日のうちにインプラント埋入し、同時に支える骨が足りないところに骨を作る再生療法まで行い、ケースによっては仮歯まで入れる治療も出来るようになってきました。
その方がインプラントを守る周りの歯肉が出来易いこともありますし、負担となる手術を1回で終えることが出来ます。一方、2回法は時間がかかる分、しっかりと治癒できる時間を得られ、ほぼすべてのケースにおいて適用できます。
この場合、付着歯肉というインプラントを守る歯肉を別に移植することがあります。
「噛み合わせ」を考慮した治療
インプラントを埋入することが大切なのではなく、インプラント埋入後の噛み合わせを考えた治療をすることも大切です。
“噛み合わせのズレは全身のズレ”と言われるくらい噛み合わせは重要です。
当院では嚙み合わせ専門医スタディグループIPSG包括歯科医療研究会VIP会員の院長が噛み合わせを最重要視した治療を行います。
歯周病の知識と経験を活かす
インプラントと歯周病の関係性は強く“インプラント周囲炎”を引き起こすがあります。
インプラント埋入後に起こる歯周病と考えたらわかりやすいでしょう。
インプラント周囲炎になると歯茎が下がり、最悪の場合埋入したインプラントが抜け落ちてしまう可能性があります。
当院の強みである「歯周病治療」の知識と経験を用いて、歯周病の発生リスクの排除を徹底して行うことで、インプラントの長期維持を目指します。
当院では、インプラント治療の経験や実績だけでなく、噛み合わせや歯周病の経験・実績も取り入れ、インプラント埋入時〜埋入後のリスク管理・機能向上を意識しています。
インプラント治療が必要ケース
歯を1本失くしてしまった
入れ歯やブリッジのように、失った歯に隣り合う健康な歯を削ることはありません。
失った部分のみの治療で済み、天然歯と同じ色味のセラミック製の人工歯を選べば見分けがつかないほど自然な仕上がりになります。
前歯は見た目の審美性が大切なとこなので、綺麗に見えるように歯肉を移植したり厚みを持たせるために人工骨やコラーゲンなどを応用して再生療法をすることが多いです。
奥歯を複数本失くしてしまった
ブリッジのように歯を削らずに修復できますし、入れ歯のような金属のバネ(クラスプ)で固定させたりしないので、見た目の問題や違和感がありませんし、自分の歯を揺さぶるクラスプが無いので歯を守ることにもつながります。
人工歯根を顎の骨に埋入するので、しっかりとした咬み心地を再現でき、硬い物も安心して食べられます。
すべての歯を失くしてしまった
総インプラント手術なら、入れ歯のようにはずれたりズレたりする心配はありません。
義歯は、しっかりと顎の骨に固定されているので、まるで自分の歯のように力を入れて咬むことができるので、食事も会話も安心して楽しめます。
但し、老後に介護が必要になったり、何らかの障害でブラッシングなどのお手入れが難しくなった場合のことを考えて、出来るなら上部構造は可撤式にした方が良いと思います。
インプラントだけ骨の中に残し、カバースクリューで蓋をしたり インプラントの上に装着できる入れ歯に変更できるようにしておけば安心です。
インプラントのメリット・デメリット
- 天然歯に近い咬み心地に回復できる
- 周りの健康な歯に負担をかけない
- 見た目が自然に仕上がる(審美性が高い)
- しっかり咀嚼(そしゃく)することで咬む刺激がしっかり伝わるので、顎の骨が痩せていくのを防げる
- 顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術をともないます
- 自費診療なので、治療費が高額になることも
- 顎の骨に埋入したインプラントがなじむまで時間を要するため、治療期間が比較的長め
治療期間の目安
インプラント埋入後、骨と結合するまで一般的には上顎で3ヶ月、下顎で2ヶ月かかります。
しかし、骨の状態によってはさらにかかることがあります。
一概に治療期間を断言することはできませんが、平均でいうなら3ヶ月~10ヶ月ほどになります。
※ 症例などにより個人差があります。